革靴鳴らし
夜という壮大なブラインドを行脚し
彷徨するはずがいつものカウンター。
カウンターの片隅
人生半ば諦めかけたおっさん
語彙地獄に溺れてどさんぴん。
右隣のおっさん
口説く単語そろそろ弾切れ
リボルバーに残った1発を
こめかみに合わせブッ放す。
左隣の初女ちゃん
女の仁義をわめき散らし
俺にボクサー並のワンツーを決め
後は二人で半ば狂った様な丁々発止が
延々続き俺はそろそろ電池切れ。
抜けるはずの無限の螺旋に絡みつき
バーを後にする。
今も聞こえるあの娘の高笑い。
今日もスズメの囀ずりを聞きながら一人眠りに就く。